近年、深層学習を用いてヒト脳内の情報処理機構を解明する研究が盛んになってきており、多くの新しい知見が得られている。脳内の意味情報処理のモデル化も進められており、例えばHuthらは、自然音声刺激による脳活動から脳領域における意味地図を構築し、意味体系のほとんどの領域において特定の意味領域や関連する概念のグループが存在することを明らかにしている。また言語モデルを用いた研究では、脳内の意味情報表現と実際の意味知覚の間に有意な相関があることやTransformerベースのモデルを用いた場合に性能向上が見られることが確認されている。このように言語刺激に対する脳内状態を予測することにより、様々な脳内情報処理機構が解明されてきている。そのような背景を受けて、言語刺激と脳活動状態との対応関係を捉える汎用言語モデルBrainBERTを提案し、脳活動からテキストの予測において一定の成果を挙げている。このことを踏まえ言語刺激から脳活動状態を予測することを試み、20種類の代表的な汎用言語モデルとBrainBERTを用いた脳活動状態予測において、予測精度を比較することにより、BrainBERTの性能を検証することを目的とする。 |